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📘 第1回「建築日和」【そもそも大規模修繕とは?】

🏢 大規模修繕とは?

「大規模修繕工事」とは、マンションの建物全体に対して一定周期で行う計画的な補修・改修工事のことを指します。

建築基準法によると『建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕』。主要構造部とは壁・柱・床・はり・屋根・階段。その1/2以上の修繕を行うことを「大規模修繕」と呼びます。

日常的な小修繕(電球交換、手すりのぐらつき補修など)とは異なり、外壁・屋上防水・鉄部塗装など建物全体に関わる大掛かりな工事を実施するのが特徴です。

👉 ポイントは「壊れてから直す工事」ではなく、劣化を予防し、建物を長持ちさせるための工事であること。

 

🔧 大規模修繕の主な工事内容

大規模修繕の内容はマンションの規模や築年数によって異なりますが、一般的には以下のような工事が行われます。

工事項目

内 容

効 果

外壁補修・塗装 ひび割れ、タイル浮き・剥離補修、塗装更新 外観の美観維持、落下事故防止
防水工事 屋上・バルコニー・共用廊下の防水層更新 雨漏り防止、建物寿命の延長
鉄部塗装 手すり・非常階段・玄関扉などの塗装 錆の防止、安全性確保
共用部改修 床シート張替え、照明更新など 利便性・快適性の向上
設備工事 給排水管、ポンプ、電気設備など 機能回復、事故防止
付帯工事 駐輪場や駐車場舗装、外構整備など 利便性向上、住環境改善

 

なぜ大規模修繕が必要なのか?

大規模修繕は「やらなくても困らない工事」と思われがちですが、実際には大きなメリットがあります。

 1.安全性の確保
外壁タイルやコンクリートのひび割れを放置すると剥落事故の危険があります

 2.建物寿命の延長
定期的に防水や鉄部塗装を行うことで、劣化の進行を防ぎます

 3.資産価値の維持
外観の美しさは資産価値や入居率に直結します。中古マンション市場では定期的な修繕が評価ポイント

 4.修繕費用の平準化
緊急対応では高額になりやすく、計画的に行う方がトータルコストを抑えられる場合もあります

 

大規模修繕の実施時期(目安)

マンションをはじめ学校やオフィスビルも12〜15年ごとに大規模修繕を行うことが多いです。

1回目は外壁塗装や防水工事が中心ですが、2回目3回目と回を重ねるごとに外壁塗装・防水工事に加えて給排水設備改修やエレベーター工事、耐震補強が必要になります。

 

🚶 大規模修繕の進め方(基本の流れ)

大まかな流れを押さえると、工事検討がスムーズになります。

 1.劣化診断の実施 (専門家による調査)
 2.修繕計画の立案 (工事項目・スケジュール整理)
 3.住民説明会・合意形成 (管理組合での承認)
 4.施工会社選定 (相見積・比較検討)
 5.工事実施 (通常36か月)
 6.竣工検査・アフター対応

 

💰 費用相場と資金計画

大規模修繕の費用は規模や工事内容により大きく異なりますが、目安は1戸あたり80120万円です。

例:中規模マンション(50戸)の場合

  • 外壁・防水・鉄部塗装中心4,0006,000万円
  • 給排水管やエレベーター更新を含む → 1億円以上のケースもあり

資金は通常「修繕積立金」から充当されますが、不足する場合は一時金徴収や借入れを検討する必要があります。

 

📍 東京都・隣県で多い修繕の傾向

  • 東京都中央区・千代田区 → 周囲の新築マンションに見劣りしないよう、タイル外壁修繕・模様替えのニーズが高い
  • 横浜市・川崎市 → 大規模マンションが多く、工事規模も大きい
  • 千葉県浦安・市川 → 塩害による鉄部錆びの修繕が多い
  • 埼玉県さいたま市・川口市 → 築20年以上の中規模マンションが増加で修繕ラッシュ

  修繕を先送りするリスク

  • 外壁剥落事故による責任問題
  • 雨漏りや配管破損による生活被害
  • 緊急工事で通常の2倍以上の費用がかかることも

 

まとめ

大規模修繕は、“建物を長持ちさせ、資産価値を維持するための予防的な工事”です。
15年前後のマンションでは、まず劣化診断を行い、修繕計画を立てることが第一歩になります。

次回は「大規模修繕の進め方(劣化診断〜竣工まで)」を分かりやすく解説します。

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