お知らせ・ブログ
📘 第3回「建築日和」【大規模修繕の費用と資金計画】東京都・隣県の事例を踏まえて
2025/10/17

💡 大規模修繕にかかる費用はどのくらい?
大規模修繕工事はマンションの規模や築年数、工事範囲によって費用が大きく変わります。
一般的な目安としては、1戸あたり80万〜120万円 が相場と言われています。
費用の目安(中規模マンション・1回目~2回目想定)
| 戸数 | 主な工事内容 | 費用相場 |
| 30戸 | 外壁塗装・屋上防水・鉄部塗装 | 約2,500万〜3,500万円 |
| 50戸 | 外壁改修・屋上防水・共用部改修 | 約4,000万〜6,000万円 |
| 100戸 | 外壁改修・屋上防水・設備更新 | 約8,000万〜1億円以上 |
給排水設備やエレベーター更新を同時に行う場合は、1.5倍〜2倍の費用がかかることもあります。
👉 築年数や工事内容以外に立地やマンションのグレードなどでも予算は大きく異なります。
🏦 修繕積立金と工事費用の関係
多くのマンションでは、日常的に「修繕積立金」を積み立てています。
しかし、国土交通省の調査によると、建設資材や工事費用の高騰などの影響もあり約3割のマンションで将来の大規模修繕費用が不足すると報告されています。
修繕積立金の平均(国交省「マンション総合調査」より)
平均:月額 1戸あたり 12,000〜15,000円程度
必要額の目安:月額20,000円前後(長期的に安定する水準)
👉 「積立金が足りるか?」を確認し、必要に応じて 積立金増額・一時金徴収・借入れ を検討することが大切です。
💰 資金不足を補う方法
1.修繕積立金の増額
理事会での合意形成が必要ですが、早めに増額しておくと一時金徴収のリスクを減らせます。
2.一時金徴収
工事直前に住戸ごとに追加負担をお願いする方法。
ただし住民の負担感が大きく、トラブルの原因にもなります。
3.金融機関からの借入れ
最近はマンション管理組合向けの融資制度(修繕ローン)も整ってきています。
例:期間10〜15年、金利1〜2%台~
🏛 補助金・助成金の活用(東京都・隣県)
大規模修繕そのものに対する直接的な補助金は少ないですが、省エネ改修・耐震補強などを組み合わせると補助を受けられるケースがあります。
◆東京都
耐震診断・耐震改修助成制度:耐震診断・耐震補強工事に補助
省エネ改修補助:LED照明・断熱改修などに補助金
◆神奈川県(横浜市)
マンション共用部分バリアフリー化補助:スロープ舗装や手すり設置等に補助
◆千葉県・埼玉県
自治体によっては「耐震診断費用助成」「バリアフリー化補助」などあり
👉 各自治体のホームページで「マンション 修繕 補助金」と検索すると最新情報が確認できます。
📈 費用を抑える工夫
大規模修繕の費用は「比較」と「工夫」で抑えることができます。
1.複数業者への見積比較
工事内容を同一条件で依頼し、仕様・価格・保証を比較する。
2.長期修繕計画を活用
「今やる工事」と「将来に回せる工事」を整理し、費用を平準化。
3.工法の工夫
例:外壁タイル補修 → 全面貼替ではなく部分補修で対応
防水工事 → シート防水や塗膜防水など建物に合う工法を選定
4.一括発注によるスケールメリット
隣接マンション・系列マンションと同時発注でコスト削減できた事例もあり。
📍 東京都・隣県での費用傾向
◆東京都心部(中央区・港区)
外壁タイル建物が多く、外壁工事費用が高くなる傾向。
◆神奈川県(横浜・川崎)
大規模マンションが多いため、全体の工事費は高額になるが、1戸あたり費用は比較的抑えられる。
◆千葉県・埼玉県
築年数の古い中規模マンションが多く、給排水設備更新や駐車場改修を同時に行う事例が増加。
⚠ よくある失敗例
✖修繕積立金が足りず、急遽一時金徴収 → 住民トラブルに発展
✖工事範囲を曖昧にして契約 → 工事中に追加費用が発生
✖費用だけで業者を選び、結果的に品質や保証が不十分
👉 「安さだけ」ではなく、「品質」「保証」「将来の安心」を含めて総合的に判断することが大切です。
✅ まとめ
①大規模修繕の費用は 1戸あたり80万〜120万円 が目安
②資金は修繕積立金でまかなうのが基本。不足時は増額・一時金・借入れで対応
③補助金や助成金を組み合わせれば費用負担を軽減可能
④比較検討と長期計画で、トータルコストを抑えられる
👉 次回(第4回)は、実際の工事で起こりやすい課題 ― 「騒音・臭気・住民対応・安全管理」について解説します。
Contactお問い合わせ
- 03-6811-7537
受付時間 9:00 ~ 17:00(土日祝除く) - お問い合わせ
